2015/08/04

熱帯夜の曳航

 大学を卒業して会社員になってから、4ヶ月余が経過した。本も読むことも映画を観ることも、凡そ音楽を聴くことさえも止め、ここのところ日々を過ごしている。無論文章を書くことも無い。以前のような考え事に苛まれることもない…苛まれる、という表現をしてしまうあたり、あたかもぼくは駄目になってしまったようではないか。こう、文字を打ち出してみても空咳のように頼りなく、頭に塵の冠ったようなぼんやりとした心持だ。それでも毎日は過ぎていくし、確かにぼくはキャリアを積み上げている。この乖離感、即ち自分の中に感じられる妙な空しさと、一方で周りから受ける叱咤や礼讃なぞとの間に横たわる、抗い難きズレが、ぼくを捉えている。

 ぼくはかつて学生であり、そうして今は会社員である。しかし、思うに、本質的にこの両者には違いがないように思われる。生活習慣にはかくも大きな隔たりがあるにも関わらずである。

 ただ、唯一挙げるとすれば、社会人として、ぼくはある程度重層的である必要があるだろう。これまでのように通り一遍の在り方では駄目だ。
 ある一面では(社内にあって主で)情熱的であり、また一面では(社内であっても場合に依っては)鳥瞰的である必要がある。二面では事足りない。そのバランスの中で揺蕩うようなイメージが求められるように感じる。ぼくはデスクの付箋を眺めながら、そう考えていた。

 できるだけ本は読み続けたい。暑い日が続く。

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