部屋の掃除の途中、座椅子にかけて眠ってしまっていた。目を覚ますと日が暮れていて、時計は二時間ほど、針を進めていた。桑田佳祐の音楽が延々と繰り返されている。『今でも君を愛してる』、白桃の香りと薄暗がりが妙にエロティックで、彼女のことを思い出している…ぼくは今でも、彼女のことを愛している。傍らのバナナをひと齧り、食欲のないここ数日の憂鬱を考えている。ぼくは裏切られたのだろうか、そうして、これからまた、裏切られるのだろうか…今までのように、ぼくは結局のところ、損なわれるだけの存在なのだろうか。
ぼくはもう、最後だった。今度がうまくいかなかったときには、全てをやめてしまおうと心に決めていたのだ。だってね、誠実さにとっては、それが最も大切なことだったからだ。遂にぼくは、ぼくであり続けることしかできなかったのだ。それはあまりに悲しいことだった。
この一週間で、二度、彼女を泣かせてしまった。それについてぼくは、思っていたよりもずっと大きな罪悪感を感じている。ぼくは間違ったことは言わなかったはずだ、けれども、たとえそうであっても、いずれにせよ彼女に涙を流させてしまったことは、大きな罪だ。ぼくの罪だ、そうしてそれは、償われるべき、罪である。
明日、彼女は訪れる。どうして彼女を抱けようか、青い悲しみが部屋を満たしていく。それはどの青とも違う。血のように鮮やかで、木々のように萌える青、滲んだそばから消え入りそうな、悲しい青だ。
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