劣等感でずぶぬれる。秋晴れの坂道をゆっくりと歩きながら、ほとんど真上に至った太陽の日差しを半袖の腕に痛く感じる。前髪が鬱陶しくて、再三かきあげてみるけれど、すぐに目を伏せれば頭は前に傾き、髪は額に落ちてくる。下らない音楽を反芻しながら、疲れ切った内臓をぶら下げる自身のくだらなさを思う。いいかい、夜は終っていない。頭の中で木霊している。おれはかれこれ長い間、夜から脱け出せずにいるのだ。
秋の所為にしてしまえばいいのかもしれない。けれどもぼくにはそれができない。何故ならば、ぼくは夜にいるのであって、そこでは季節など関係はないからだ。
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