2013/04/30

たいせつなことも忘れてしまう

 たくさんのことを忘れてしまった。ぼくはいつも、大切なことも全て忘れてしまう。そういう人間なのだ。その性質のせいでこれまで多くの失敗をしてきたし、幾度も傷つけ、傷ついてきた。それについてぼくは、長い間かけて、何度も何度も思い悩んだ。永遠のような反芻の果てに、ぼくが気付いたのはただひとつだけである。それは、どうしようもないということだ。ぼくは忘れるのだし、きっとそのせいで、忘れられてしまう存在でもあるのだろう。結局のところ、ぼくというのはそういう人間なのである。本質的な性質としての忘却は、ぼくからはきいっと拭い去ることができないのだ。

 だからと言うわけではないけれど、忘れることに関して、ぼくのことを責めないでほしい。これはある意味では不可能だ。けれど、そういう側面での話ではない。なんというか、そう、これは細やかな期待だ。往々にして悲劇につながるところの、期待というやつである。

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